J.Yokota Rod Maker | 横田ロッドブログ

J.Yokota Rod Maker(横田ロッド)です。ホームページはyokotarod.com。ウェブリブログから引っ越してきました。 本職のバンブーロッド製作はもちろん、 犀川、山岳渓流、海、北海道などの釣り 山菜、きのこ、温泉、焼酎・・・・・ などなど、できるだけ"マメ"に書き連ねていきたいと思います。 よろしくお願いします。

カテゴリ: レストア・修理


Paul H.Young Perfectionist 7’6″
の組み立てです。

レンコデラー氏からブランクと部品で購入し、
組み立てて使っていたロッドを
バラシたものを購入したので、再組立てしてほしい。

とのこと。

なんだかよくわかりませんが、やります。

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フェルールが気になります。
P8155866.JPG

外したガイドも付いてました。
塗料を拭き取り、再使用します。
P8155870.JPG

ブランクの汚れ、残った塗料を拭き取り、
大体のクセを取って、作業開始。


まずはグリップを作ります。
P8165871.JPG

ヨコタロッド、今月の分と同時進行です。
中削りが終わり、パテ埋めしたところ。
ヤングは下から2番目。
オールコルクグリップです。
P8165872.JPG

オールコルク、リング&リングです。
パテを落とし、リール面の面取りをして、
またパテ埋め・落とし。
予め黒塗りしておいたリングを合わせて
グリップは完成です。
P8175873.JPG

さて、次はラッピングです。
ここで問題がありました。
以前のオーナーさんはけっこう使い込んだのでしょう。
外したガイド跡が、まるで水着跡のようクッキリ残っています。
(写真撮り忘れました)
バットの第一ガイドなどは位置もちょっと違うと思うんですが、
「水着跡」が丸出しになってしまうので、変えられません。
また、ラッピング幅もすごく広いのですが、これもまた水着跡が
目立ってしまうので、あまり狭くできません。

よく見ればちょっと白い跡が見えます。
この程度が限界です。
P8205876.JPG

フックキーパーは作りました。
P8205875.JPG


トップの第一ガイド付近です。
ここにスプライス修理跡があります。
危ない治し方なので、補強巻きをしました。
P8205877.JPG

ラッピングが終わり、塗装に入ります。
お客様のご希望で、
「クラシック感」 を大事に薄塗りでいきます。

いつものヨコタロッドより、感覚ですがブランク部は3割ぐらい薄塗り。
ガイド部はだんだん糸目がハッキリ出てきて、
「透けてんだか透けてないんだか・・・」の
あのクラシックロッド独特雰囲気に
なるように仕上げます。

これが半年、1年もすると太い糸目がハッキリ出てきます。
P8285908.JPG




リング&リング
裏の黒は落としてあります。
コルクが真っ黒にならないようにです。
P8285910.JPG

こんな感じです。
P8285904.JPG

お客様にも喜んでもらえました。
強いロッドなので、けっこう使う場所は
考えちゃうと思いますが、
しっかり作ってありますから、
ガンガン使ってください。


下書きが出てきた! その1

昨年のサーバー側の「大規模メンテナンス」とやらで、
どこかにいっちゃってた下書きの画像がたくさん出てきました。
昨年の今頃の分です。
画像しかないので、思い出せないこともありますが、
しばらく続けて投稿したいと思います。
よろしかったらご覧ください。

 ~~~~~~~~~~~

25年前に作った R66 #2/3 
トップは#1なみの繊細なロッド、
オールコルクモデルです。

修理内容は
・コルクグリップ作り直し
・トップガイド交換
・フェルール、リールシートさび落とし
・全体のタッチアップ等々
です。

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使わないでシケっぽいところにあったのでしょう。
リールシートも

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フェルールも白い粉を吹いてサビだらけ

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ストリッピングガイドはミルドラム#8
スネークガイドはパーフェクションです

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これも付け替えます

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まずはグリップ作り直しから~~~

プライヤーで大ざっぱに剥きます

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スウェルバット部

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当時はなんか大げさで恥ずかしくて、
この程度しかスウェルは出していません。
半分も出してないです。

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コルクをむしり取ったらザッときれいにします。
もう一回コルクを接着するので、
塗装前のような下地調整をしなくてもいいです。
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ブランクに合わせてコルクに穴を開けます。

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コルク接着

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お客様のご希望はパンプキンタイプ。
スウェルバットを出すので、あまり太く
ボテッとさせないようにします。

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リールシート部はヤスリで。
板ヤスリ⇒サンドペーパー#240

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パテ埋めしてから#400で仕上げます。

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今回サイン部はそのまま残します。

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そしてラッピング。
以前よりスウェルを出したのがわかります。

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Before

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After
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グリップはかわいいパンプキン。
リールシート金具は磨き上げました。
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フェルールもビカビカに
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--- 完成です。またガンガン使ってください! ---

元々は画像のように普通のシングルハンドでした。
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でも犀川用9Ft #8 のバンブーということで、
振り回せば疲れるし、画像のような魚が掛かれば(60cm 前後3本!!!)
EXバットがあれば楽ということで
大改造です。

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元々は横田ロッド・バンブーロッド・ビルディングスクール
でKanbayashi氏が作ったロッドなんですが、
随分前のことなので、
どういう構造か覚えていませんでした。

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ではリールシートを外すところから順を追って・・・

いきなり問題発生!(その1)
なんでリールシート部がブラスのパイプになってるんだろ???
・・・覚えてない・・・
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まぁいいや。

旋盤に通すためストリッピングガイドと
もう一個ガイドを外します。


なんでダブルラップになってんだ?
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EXバットの着けられるスクリューロックの
リールシートにするために
コルクグリップ下部を落とします。

真っすぐに綺麗に線を入れるため
極薄の突っ切りで切り込んで・・・
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コルクをむしり取ります。
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コルクを整え、
ブラスパイプ径までブランクを削って準備OK
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リールシート口金コルクはこんな風に
接着されます。
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ここでまた問題発生!(その2)

リールシートの口金の径が以前のより太いので、
コルク一個じゃダメだ!

グリップをさらに落とし、
寸法に合わせコルクを足します
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ブラスパイプが8Φでちょっと強度的に心配なので、
上からアルミパイプを被せてリールシート
とコルクを接着します。
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これだけの部品を接着するので、
順番に注意!
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--- 1 ---
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--- 2 ---
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--- 3 ---
口金入りのコルクだけです。
リールシートは接着していません。
センターがずれないように差し込んであるだけです。
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コルク接着後、バイトで粗削り
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ペーパーで仕上げてパテ塗って
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研いでグリップ完成
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さてラッピングです。

で、またここで問題発生!(その3)

製作者がラッピングスレッドを覚えていない!

「赤」といってもけっこうな種類があるんです。
透け具合からナイロンスレッドとはわかったけど・・・

ナイロンの赤系といってもこんなにあるんです!
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しょうがないから「カン」でいきます。
この糸で大丈夫でしょう!
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と、思ったら・・・

ここでまた問題発生!(その4)

全然違うじゃん!もっと赤いじゃん!
ガ~~~ン

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ガイド2つだけなので、エポキシ塗料混合後、
硬化する前に
大慌てでラッピングし直します!


今度は色合わせバッチリ!

※左右ラッピング幅が大きく違うのは、
前製作者の巻いた糸幅に合わせているためです!

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  さらに2度ほど上塗りをして
  乾燥後リールシートを接着



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   ========= 完成=========

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リールシートのウッドスペーサーはオーナーの
好みの木から作りました。
リールシート下部のEXバットをねじ込むところも
ネジ切りしました。
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EXバットをつけるとこんな風になります。
やっぱカッコいいですよね!
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さあ、ガッチリ作ったからもう大丈夫。
ガンガン使ってください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

と、思ったら、すでにガンガン使ってました!

54cm

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64cm
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容赦ないっすね!

修理内容

・フェルール交換
・リールシート交換
 キャップ&リング → スクリューロック


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ほとんど使っていないロッドです。
スペックは 7'6" #6/7 強烈です。
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ほとんど使っていないのに、
フェルールのすり合わせがガタガタです。
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オスフェルールのテーパーのつけ方がうまくありません。
差し込み口側(先端)の方が圧倒的に太い!
これではフェルールを入れれば入れるほどガタが出ます。
通常使っていて、こういう風には減りません。
新品時からこうだったと思います。

画像をクリック・拡大して見ていただければわかりますが、
フェルール差し込み部の
下の方は艶消し(梨地)になっていますが、
上半分くらいは光っているでしょ。
これは下部のピンポイントしかメスフェルールの
内側とこすれていないということです。
上半分とメスフェルール内側にはすき間がある。
ということです。
ですからフェルールを差し込むと、メスフェルールの
口金とすき間のあるオスフェルールがカチカチ音を
たてるんです。
微かな音程度でしたら、髪の毛を2~3本はさめば
音も止まりますし、使っていても問題ありません。
でも今回はそんなレベルじゃありませんでした。


ここから作業風景です。

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見かけを同じにするため、
寸法を測って、おおまかな
設計図を書きます。
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さあ、これを外します。

通常フェルールにガタつきが出た場合は
フェルールとブランクの接着も剥がれかけていることが
ほとんどです。
ですからちょっと熱をかければ、大抵は
簡単にフェルールは外れます。
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が、今回は新品に近い状態。
ちょっと熱をかけて接着剤を溶かして外そうとしても
ビクともしません。

こういうときは絶対に無理をしてはいけません。
熱をかけすぎてブランクを焦したら "パ~" です。

フェルールを引き抜く時、力が入ってブランクを
曲げてしまっても "パ~"

こういう時は旋盤を使います。

フェルールだけを慎重に削ります。
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薄く、薄く何回もバイトを当てて・・・

だいぶ削れて薄くなってきました。
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ここからは残ったフェルールに浅く切れ目を入れ
プライヤーでらせん状に引っ剥がします。
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こんな感じでフェルールが剥がれます。
火が入っていないので、ブランクの色が
変わっていません。
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これ1本だけをやっていると効率がわるいので、
通常のヨコタロッドのフェルール関係の仕事に
合流します。


作ったフェルールの寸法を確認します。
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接着剤やら凸凹を慣らすため
ブランクを元の寸法より0.1mm細く削ります。
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フェルールを接着します。
手前2本です。
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接着翌日、すり合わせします。
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フェルール関係はここまで。
黒染めをして、あとはラッピング~塗装です。

お次はリールシート交換です。

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旋盤に通すためストリッピングガイドを外します。
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ウッドのリールシートはチョチョイのチョイとは外れません。
これまたフェルールを外す時と同じく、
旋盤を使い慎重に削り落とします。
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これから着け直すベリンジャーのダウンロック・スクリューが長いため、
ウッドだけでなくコルクもちょっと落とします。
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新たに使うリールシートの内径に合わせ削ります。
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これが入って
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こんな感じになります。
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2トップ(フェルール)修理完成
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7'6" とはいえ、#6/7と強烈で、ついつい振り回したくなってしまう、このロッド。
スクリューロックのほうがリールの緩みがなく
圧倒的に具合がよく安心だと思います。

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外したストリッピングガイドも着け直して
ロッドは完成です。

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絶対に失敗できない”よそ様のロッド”なので、
ピリピリと神経質に作業をすすめました。

でもけっこうこの”緊張感”が好きなんです。

先日、すごく難しいけど、面白い修理をしました。


見てください!
フェルール自体、スリット部から折れているのです!
しかもセンタースチールのロッドです!
こんな折れ方・・・始めて見ました!
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修理内容は「使えるようにしてくれ!」  でした。

こんなふうにフェルール自体が壊れたのですから、
本当はオス・フェルールを新規製作するのが一番簡単なのですが、
想像してみてください・・・
メスはハーディー・スパイラルロック・フェルール
オスはフックのないステップダウン・・・
おかしいでしょう!? やっぱり
私がこのロッドのオーナーなら、イヤです!

というわけでこの”折れたフェルール”を使って修理することにしました。

実はこのロッドはセンタースチールです。
ブランクの中心に鋼材が入ってます。
あまりに熱中しすぎて写真を撮り忘れましたが、
折れたフェルールの中に残っている鋼材入の竹を取り除くのに
冷や汗をかきながら旋盤でドリリングしました。
バキッ!パキッ!」と、時折鋼材を折りながら、少しずつドリルを前進・・・

最後はドリルを進めずに、わざと熱をもたせて空回りさせ、
中に詰まっている竹とフェルールを剥離させて・・・


うまく行きました!
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でもこのままじゃ、ダメです。
スリットを切ってないフェルールもありますが、
このブランクの重さ、強さを思えば、
やっぱりパワーをピンポイントに集中させないバネのような
「スリット」部は必要だと考えました。

よし、フェルール改造!

フェルール、今の状態が①
フェルール入口をボアアップして②
ここにスリットを切ったパイプを接着③
という予定です
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フェルール入口の内側をボアアップ
①の作業
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その内径、長さに合わせてパイプを作ります。
弾力を考えて、スリット部は洋白(ニッケルシルバー)で作ります・
②の作業です
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作ったパイプにスリットも入れました。
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こんなふうになります
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ブランクは折れたギリギリから使います。
フェルール内径に合わせて削ります
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作ったフェルールをブランクに接着後
スリット部を仕上げます。
上手くいきました!
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ラッピング、塗装を終えて完成。 (一番下の一本です)
目減りしやすい塗料を使ったので、
数ヶ月もすれば上の2本のように”糸目”も出て、
それらしくなります。
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お客様も「思い入れ」が強いロッドだからこそ修理に出されるのだと思います。
現行のカーボンロッドもたまにはありますが、
ほとんどは”買い直し不可能”なクラシック・バンブーロッドです。
ですから絶対失敗できないので、すごいプレッシャーと戦いながら作業します。

今回も折れたフェルールの内ぐり(ドリリング)が一番緊張しました。
・・・もし軸がずれて、フェルールが(旋盤の)チャックから外れたら
きっと壊れて”パー”です。
・・・チャックの中で滑ったら、フェルールのフック状の部分がきっと壊れ、
やっぱり”パー”でしょう。

なんせこんな金具-スパイラルロック-なんて、手に入らないし、もう作れないからです。

にしても、面白かった!
「正確にやればできるハズ!」と
段取りを考えて、一つずつクリアーして・・・
完成すると本当に気持ちがイイ!!!

お客さんも、ロッドも喜んでくれたと思います

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